はじめに
今回は、弊社の施工にご協力いただいている主要な協力会社のひとつである、「フジサワコーポレーション」の代表取締役社長の澤田様にお話を伺いました。
エスカレーターの手すりをラッピングしている会社は限られており、弊社にとっても大変興味深い内容ばかりでした。
それでは、早速、澤田様のインタビュー記事を見ていきましょう!
インタビュー内容
UD まずはじめに貴社の事業の経緯を教えてください。
澤田様(以下、澤田さん) 我々の事業は、以前は個人向けのサービスと法人向けのサービス、両方をやっていました。個人向けのサービスでは、フィルムカメラの時代に撮った写真フィルムを写真屋さんに持って行ってもらい、そのフィルムの現像、プリントしてお客様にお渡しするという事業をおこなっていました。その店舗のお客様を対象に、我々が工場でフィルムの現像やプリントなど写真サービスに関するありとあらゆる事業を行っていましたね。そういった周辺型事業を行っていました。
法人向けのサービスでは、広告代理店や出版社向けに個人向けサービス同様に写真サービスの提供をおこなう事業としておりました。この法人向け事業がさらに進化して、現在の屋外広告事業に発展しており私たちの写真技術を利用して広告を制作するという所につながっていきましたね。
UD 屋外広告の素材の開発も独自でされているのですか?
澤田さん 素材の開発は一部私たち独自でもやっているものもありますが、基本的にはメーカー様が作ったものを使うことが多いですね。
UD 今、貴社で行われている事業について教えてください。
澤田さん 今は事業の軸が3点あります。1つは屋外広告でして、主に交通広告ですね。首都圏ですと、駅になります。地方だと主にバスラッピングで、その他に立て看板などがあります。2つめに商業施設関係の装飾ですね。商業施設でセールやキャンペーンがあると装飾したり、クリスマスなど季節ごとの装飾をさせていただいております。最後に3つめは建築関係の内装です。オリジナルデザインのガラスフィルムや、壁紙をつくったり、オフィス内装にかかるような内装部材の製作を行います。派生すると単発のイベントだったり、いろいろな事業がありますが大きく分けるとこの3つです。
UD そんな中、エスカレーターのラッピングをするようになったのはどういった経緯でしょうか?
澤田さん エスカレーターベルトになぜ行き着いたかというと、正直私もよく分からないんです。(一同笑い)私が当社に入ったのが2007年で、その当時の屋外広告の責任者が、新しい媒体のひとつとしてエスカレーターの手すりをラッピングしてみよう、となったのが始まりのようです。メーカーさんにも材料の部分で協力してもらうなど連携して、何度も試行錯誤するなどして、取り組んでいました。
UD 当時の話で他に詳しく覚えていることはありますか?
澤田さん その後、“デコベルト”という名称でエスカレーターのラッピングをするようになり、当時は遊技場関係や家電量販店などが多かった記憶があります。
UD これからもエスカレーターのラッピング領域をどんどん伸ばしていこうというお考えでしょうか?具体的な戦略などがあれば教えてください。
澤田さん もちろん伸ばしていこうと思っています。今、私たちの会社で営業において、特に注力すべき商材、要は我々に競争力がある、他社にはない強みのある商材というポジションとして捉えています。ただ、年間での売り上げではなく、年間で何基施工するという目標を設定していますが、ちょっと苦戦しているのが本音です。
UD これからも拡張していこうというお考えが聞けて協業している当社としては頼もしいお言葉です。ただエスカレーターのラッピング事業は、一時期、ばーっと盛り上がって、ちょっと下火になっていったじゃないですか。それは貴社としてはどういった要因があると思いますか。
澤田さん ラッピングするシートは特殊なものなので、決して安い媒体ではありません。クライアント様はもちろんのこと、メディアプランニングをされる代理店様にとってもキャンペーンの予算規模に合わない場合があったのも要因かと思っています。例えば、我々として基数が多かったのは百貨店さんでの大規模キャンペーンなど、予算規模が1000万円以上の予算がつけばうまくいく傾向がありました。しかし、継続してその規模の予算を持っているクライアント様に、エスカレーターの手すりの魅力がリーチできていなかったのも要因なのではないかと思うこともあります。
UD 業界的には調子が良かった時というのは大体、年間何基ぐらい施工していましたか?
澤田さん 最大で年間50基ぐらいでした。
UD 貴社では今まで何基施工しましたか?
澤田さん 通算200基ちょっとぐらいですかね。当社の名前で200基ちょっとと、他社発信のものとして作ったのが関連で別にあるくらいです。
UD 我々も課題に思っていたのですが、一回施工してクライアント様からエスカレーター広告の効果性を感じていただいて、そこから、継続してもらえるような提案をし続けるのが中々難しいと感じていまして。その点の理由としては施工費の部分だと思いますか?
澤田さん それが大きいかなと思う。
UD 広告効果に関しては評価いただいている感じはありますでしょうか。
澤田さん そうですね。銀座の大型商業施設でやらせていただいた時も大手クライアントさんが入ってますが、それによってラッピングをやらなかった時より売上があがったかどうかの単純な比較検討は難しいですよね。我々は広告代理店からデータをいただけない立場でして、施工会社としても難しいなと、ジレンマを感じていますので、そこをぜひUDさんに担っていただきたいなと期待しています。
UD 我々はゆうどうマークという名前でブランディングしておりますが、現在お互いに協力関係を結んでおり、貴社に施工をお願いする中で、ゆうどうマークを知ったのはいつぐらいですか?
澤田さん ゆうどうマークは10年ぐらい前ですかね。
UD その際、ある意味弊社を魅力的に感じたのはゆうどうマークのところでしょうか?
澤田さん 当社は正直、ゆうどうマークそのものには魅力をそこまで、感じてはいなかったですね。当時、広告媒体として施工をすることと、生産性を上げることを重要視していたので、バリアフリーの観点で捉えるようになったのは近年ですね。でも今は、その安全性にも魅力を感じています。
UD はじめは我々の方から連絡を取らせていただきましたが、我々にご関心をいただいたのはどんなところでしょうか。
澤田さん 弊社は自分たちでクライアントを見つけ提案するというのには限界があるので、UDさんに広告枠の販売、制作(デザイン)をしていただき、弊社は施工に注力できるところに魅力を感じました。
UD 施工費の話が先ほどありましたが、いかに施設側に予算をもたせないかというところが、持続的にラッピング事業を回していく上で重要だと思っています。その点で今後、貴社がどういう風に考えられているか教えてください。
澤田さん やっぱり、我々としてはある程度基数がまとまることでコストを削減できるんですよね。そうなると、自ずと施工費用が下がるので導入しやすくなりますよね。大規模施工は確かに大変ではありますが、今の体制であればかなりの基数をできるので、まずは大規模案件をやりやすい環境を整えていくことが一番だなと思います。
UD 弊社でも新しい取り組みとして、例えばNFCタグを取り入れようと開発しているのですが、貴社ではエスカレーターの手すりを単体として、広告媒体として、いわゆるポスターのように使うということもあると思うのですが、その先みたいなことを考えているのでしょうか。
澤田さん 我々としてはどうしても装飾に寄りがちなので、ベルト単体ではなく、本当に利用者の安全も考えた上でのデザインにしたいと考えていますね。
UD エスカレーターの手すり部分を媒体化してしまうと、すごく商業的になってしまうと言われてしまうことも稀にありますが、そこは貴社としては どのように説明されていますか。
澤田さん 良い雰囲気の景観を損なわれるといったことはあまり聞かないですね。ラッピング経験があるかないかで、商業施設によっては消極的になっていたりすることはあるようです。
UD むしろ百貨店とか、逆にエスカレーターの手すりをラッピングすることによりエレガントな雰囲気になりますし、想像以上に空間をトータルでデザインできたりしますよね。
澤田さん いわゆるハイブランドによる広告はしっかりハイブランドなイメージを保つ広告を出すので、空間を捉えた使い方はすごく良いですよね。結局のところ、見せ方次第なのかなと。
UD 空間が損なわれるのではないかと施設側から稀に聞かれることもありますが、ローケーションに合わせたデザインにすれば、生活導線上でより広告効果が映えますし、クリエイティブになりますよね。
澤田さん 以前、ラスベガスに行った際に、装飾用途で使っているサイネージがすごくて、もう本当にかっこよかったですね。施設やブランドの価値を上げるために、空間全体を装飾として使っていました。日本って施設の装飾に対して投資をしようというところが少ないのが非常にもったいないですよね。
UD それって結局は施設のブランディングですよね。
澤田さん そういった考えが少しずつ日本でも拡がってくれると嬉しいのですけどね。今はどちらかというと、広告がはっきりあったほうが効果が分かりやすく見えていいのかもしれませんが。
UD クライアント様がエスカレーターのラッピングを活用し、認知を拡げたり、売り上げにインパクトを与えていただくためにも、我々も尽力しないといけませんね。
今回インタビューさせていただくにあたり、あらためて貴社のコーポレートサイトを拝見しましたが、とても爽やかにデザインされていて、社会貢献としてSDGs、CSRもテーマとして力を入れていると感じました。
澤田さん SDGsというと環境問題のほうに目が向きがちですが、ゆうどうマークも“誰もが安心して暮らせる”といったバリアフリーを推進するもので、SDGsの取り組みと言えますよね。それを全面に押し出していっても良いんじゃないかなと思っています。ゆうどうマークがあることで、安全にエスカレーターの運行をすることができますからね。
UD ありがとうございます。実際、そういった安全面に共感してくださり、施工に至ったケースも少なくありません。そういったケースが増えていることもあり、広告を掲出することで社会貢献につながるという考え方を広めていきたいと考えています。
澤田さん いいですね。弊社もUDさんと一緒にエスカレーター関連事業を推進していきたいと益々感じますね。
UD ありがとうございます。貴社の今までの施工実績ですとか、施工も丁寧にしていただけるところですとか、それらを活かして、弊社としてもゆうどうマークの普及を通して、一緒に取り組んでいきたいと考えております。
澤田さん 実は我々も先月(2022年4月)、ラッピングするシートにデザインを印刷する機械を3台増やしました。半導体不足で手配するのも一苦労でしたが、より制作に力を入れることができますね。
UD そうでしたか。先ほどのお話にもありました大規模施工を想定して導入していただいたのですね。
澤田さん そうですね。SDGsの話とも関連するかもしれませんが、エスカレーターの手すりラッピングは、CSRに重きをおいている企業様との親和性が高いと感じています。そういった企業様と、大規模な案件を協働していけたらと思います。
UD 経済的にもメリットがありますし。CSR予算が翌年になると倍に戻ってくるような流れになってきたのもあるので、もっとこのエスカレーターの手すりという資産を活用できるように、世の中に発信していければと思っています。引き続き良い協力体制を持って、ともに活気のある市場をつくっていきましょう。
終わりに
今回はラッピングの施工をお願いしている、フジサワコーポレーション様にお話を伺いました。
これからエスカレーターの手すり広告の市場を、ともに協力しながら広げていくうえで、今まで難しいという経験もされつつも、広告としてだけでなく、CSRやSDGsの観点も大事にしたいとお話ししてくださいました。
その観点は弊社の思いと合致しますし、より活発な体制を築いていくための、大切な話をする良い機会だったのではと考えております。
今後も、今回のフジサワコーポレーション様だけでなく、弊社と協業してくださる方々へ様々な角度からインタビューができればと思っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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