はじめに
皆さん、こんにちは!
広告の仕事をしているがゆえに、どんな広告が出稿されているのか気になってしまい、街中を見てしまう編集者です。
このシリーズを思いついたのも、毎日の生活で必ずと言っていいほど目にする広告は、どれほど人々に影響しているのか気になったからです。
前回、広告と無意識において、無意識という概念の発見、そもそもどんなものかを深堀りしました。無意識という言葉は今では一般に浸透している表現ではありますが、実は発見されたのは19世紀末から20世紀初頭ということで驚きです。
今回はそんな人間の無意識的な感覚を利用した心理効果が、広告にどう影響するのかご紹介いたします。
1.無意識を活用した心理効果4選
①ハロー効果、②ザイオンス効果、③バンドワゴン効果、④プライミング効果
2.「無意識」に触れることで人々にアプローチができる!
1.無意識を活用した心理効果4選
人間が持ち合わせている心理効果というものは様々あり、対象物や対象事項によりそれぞれ発生する効果は異なります。
その中でも、広告・マーケティングを成功させる秘訣の1つとして、最近では心理学を基にした施策で消費者を惹きつけたり、広告運用を行う企業なども多く存在しています。
例えばどんな効果があるのでしょうか。
①【ハロー効果】
ハロー効果とは、人間の心理の1つで、対象物に対して後光を感じ取ると、対象の印象を歪めてしまう心理現象を指します。「ハロー(halo)」は後光を意味しており、人やモノなどに対するイメージが、その事柄と関連性のない特徴と結びつくことで、人間の思考や判断を偏らせるということです。
この効果は、目の前の人物や物に対する先入観が働き、経験やイメージとの関連性が高いほど起こる傾向があります。例えば、「見た目がしっかりしているから仕事の能力が高い」など、仕事と外見といった対象同士が作用し、偏ったイメージが持たれるケースがあります。
そのため、コマーシャルで好感度の高い芸能人が広告に起用されるのは、「ハロー効果」に則った合理的な宣伝手法だと言えます。
ただ、この効果はポジティブな面とネガティブな面な作用が起こるとされています。ポジティブな働きだと、ひとつの際立った高い評価に引っ張られてしまい、関係のない部分も高く評価してしまいます。ネガティブな働きだと、あるひとつの目立った悪い点が原因となって、他の部分まで過小評価されてしまうのです。
例えば、口コミサイトで上位になった商品なら、この商品はいいものに違いないと思う傾向にあります。逆に、口コミが悪いなら購入したことがなくても、その商品に対して悪いイメージを持つこともあるのです。
②【ザイオンス効果(単純接触効果)】
最初は興味がなかった物事や人でも、何度も接するうちに、無意識に好意を抱いてしまう心理的現象のことを指します。心理学者であるロバート・ザイオンスがこの効果を発見し、言葉や人、もの、文字に対して生じると彼は結論付けました。
この効果を活用しているオーソドックスな広告としてあげられるのは、テレビCMが一番わかりやすいでしょう。
生活のあらゆる場面でCMのテーマ曲を繰り返し聞くことで、最初その商品に興味がなくても、その歌を聴くだけで商品を想起したり、その商品を街中で見かけて実際に購入にいたることもあります。
彼が行ったザイアンス効果の実験では、このような認識できないレベルの刺激が無意識下に影響を与えることが実証されています。
むしろ、ザイオンス効果はその刺激に対して、人が意識を向けていない時ほど強く働くことが論文にも記されています。そしてザイオンス効果が発生する要因は、「何度もその事象に接触することで、親近性・情報処理効率が高まり、その刺激からの情報がより多くなることによって、この刺激が自分にとって好ましいものだと錯覚してしまうこと」と述べています。
③【バンドワゴン効果】
バンドワゴン効果とは、大勢の人が選択しているものと同じものを、自分もつい無意識に選択したり、大勢の人が支持している人や物の人気がより加速する状況が作り出されることを意味します。
例えば、SNS等のメディアで口コミ評価の高い店に行ってみたいと思ったことがある人も多いでしょう。これも一つのバンドワゴン効果を用いたもので、消費者の購買意欲を上昇させることも可能です。
バンドは「楽隊」、ワゴンは「荷馬車」や「ワゴン車」のこと、バンドワゴンとは「パレードの先頭を進む音楽隊の乗る荷馬車」や「音楽隊の乗る楽隊車(自動車)」を意味します。にぎやかな楽隊を見て人々が期待を膨らませ、ポジティブなイメージを抱くの原理と同じような理屈です。
④【プライミング効果】
プライミング効果とは、先に何らかの刺激を受けることにより、無意識のうちにその後の行動が影響されるという意味の言葉です。
知らないうちに影響を受けているプライミング効果ですが、プライミング効果には2つの種類があります。それは「直接プライミング」と「間接プライミング」です。
プライミング効果というのは「先行刺激(プライマー)」と、「後続刺激(ターゲット)」に分かれていますが、そのプライマーとターゲットが同じである場合を「直接プライミング」と呼びます。
例えば、ソーダ水の広告を見て炭酸飲料を飲みたくなることがあります。このような場合は商品であるソーダ水がプライマーで、炭酸飲料を飲みたくなる気持ちがターゲットです。
逆に、プライマーとターゲットが異なる場合は、「間接プライミング」と呼びます。
これは、アンケート調査などを想像するとわかりやすいでしょう。例えば、キャンピング用品会社が健康についてアンケートした場合、「日頃健康を気にしているか」、「自分らしいストレス発散方法は持っているか」などの質問事項を通して、相手に気づかれず余暇やキャンプを連想してもらい、さりげなく自社製品について誘導することもできるのです。
2.「無意識」に触れることで人々にアプローチができる!
上記で紹介した、人々の無意識という部分にアプローチした心理効果はあくまでほんの一部です。
世の中の様々な企業やマーケターは心理学を活用しており、一見なんてことない広告の中にも、心理学の要素が数多く散りばめられています。心理学と広告の成約率は、実はとても密接に関係しているのです。
優れた広告を作るためには、消費者の感情やニーズを理解し、アクションを起こすように誘導する力が必要です。その誘導する力を発揮するためにも、人の行動や意識を科学的に解明している心理学を使うことはとても効果的です。
ただし、やみくもに心理学を利用すれば成約率が上がるということではありません。
あくまでも、ターゲットや、ターゲットに起こしてほしい心情の変化や行動は、明確にしないといけないのです。
消費者にとって普段の何気ない行動は、消費者の購入意欲や行動心理として傾向を分けることができるため、心理学を用いて細かく分析していくことで、より高い広告効果が得られます。その一方で、それぞれの効果の応用の仕方が適切でなければ、消費者は一気に離れていくという面も持ち合わせています。
常に広告効果について検証を続け、消費者心理への理解を深めていくことが、広告効果を高める近道なのです。
終わりに
人間はどうしてその行動をしたのか、自分でもわからない時があります。
そういった心の変化が見える時にこそ、「無意識」が働いているのです。
意識に上らない分、日常生活では気づくことは容易ではありません。
今回は世の中に多種多様に溢れている「広告」という部分に着目しました。
紹介した心理効果は一例ですが、無意識を活用した効果を知ることで、普段は意識しない部分を垣間見ることができます。
こういった心理効果を弊社も活用しながら、社会のために、より役に立つ手すり広告を広めていければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
単純接触効果(ザイオンス効果)の解説と実用例 | マーケティング・ビジネスを成功させる心理学・行動経済学 より引用
単純接触効果と広告の関係性 | マーケティング・ビジネスを成功させる心理学・行動経済学 より引用
広告の心理学~単純接触効果~ | おおさかSUBWAY より引用
ハロー効果をマーケティングに応用する方法とは?他社の事例も紹介 | マネケル より引用
ハロー効果とは?意味や例を紹介!心理学をビジネスに活かそう|ferret より
バンドワゴン効果とは?バンドワゴン効果のメリット・活用法 | マイナビニュース より引用
プライミング効果とは? 使い方がわかる例や仕事への活用方法 | マイナビニュース より引用
プライミング効果の意味とは? 仕事・勉強に応用する方法3つ | STUDY HACKER より引用
消費者心理をついた広告 |ADFeed より引用
WEBマーケティングに消費者心理を~購買意欲をそそる15の秘訣~ | LISKUL より引用
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