はじめに
今回は、屋外広告シリーズの第2弾です!
前回は屋外広告の歴史や、日本国内の屋外広告をいくつか紹介しながら、海外の屋外広告についても触れさせていただきました。
本当に奥の深い屋外広告、、
まだまだ知らないことだらけなので、今回は屋外広告の良い部分と懸念される部分の両側面から学んでいこうと思います。
そもそも屋外広告ってどういう概念?
屋外広告法という法律が昭和24年に制定されており、
その法律の第2条第1項に以下のように定義づけされております。
『「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。』
と、明記されております。
(屋外広告物法(昭和二十四年法律第百八十九号)法令検索より引用)
簡単に内容をまとめると以下の5つの点が挙げられます。
期間:常時又は一定の期間継続している
場所:屋外
誰に:公衆に表示されるもの
何を:看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に
どのように:掲出、又は表示されたものないしはこれらに類するもの
(国土交通省屋外広告物制度の概要より参照)
では内容や場所にどんな制限があるのかといいますと、例えば東京都では「東京都屋外広告物条例」にて良好な景観の形成、風致の維持、公衆への危険防止を目的とした規制を行っています。
ただ広告の内容に関しては、表現の自由がある程度守られています。
(東京都屋外広告物条例より参照)
屋外広告を活用することのメリット
概念を確認したところで、早速、屋外広告を掲出することの良い点について見ていきましょう。
まず第一に、通勤・通学や普段の活動範囲の中に設定できる広告のため、人の目に止まりやすく訴求率が高いことが大きいです。また大きな主要駅付近などの利用者の多い地域に広告を出せば、不特定多数の目に留まることが期待できます。
街のシンボルとしてそびえることにより、ランドマークのような立場になったり、目立つデザインや内容であれば、印象に残りやすくなります。
さらに、費用対効果も高く、長期間にわたって広範囲をカバーすることができる広告形態なのです。そういうわけで、屋外広告は人々が頻繁に往来するような場所に掲示されるため、消費者が自然と屋外広告に触れることになるのです。
さらに、このように視認性の高い媒体であるがゆえに、デザインの訴求力と設置場所のマッチングがうまくいけば、かなりの数の人々に効果的にアピールが可能なのです。
歴史の長い広告のひとつでありますが、最近は屋外広告もデジタル化してきています。2D広告として設置されるだけでなく、デジタルサイネージを通して動画や音声を流すこともできるようになりました。
最近では駅構内や電車内で、デジタルサイネージの活用をよく見かけますよね。
筆者も通勤がてら、今はどんなことが流行しているのか、どんな広告主が広告を打ち出しているのかが気になるので、ついつい見てしまいます。
さらに駅前の大きなモニターを使った生放送やライブ体験を、屋外広告を通してすることができるイベントの開催もあったようです。
2021年10月に共通ポイントサービスである「Ponta」を運営する株式会社ロイヤリティマーケティングが、そのサービスの公式キャラクターである「ポンタ」が新宿・池袋の大型ビジョンで、リアルに街行く人々とコミュニケーションをする「ポンタが街にやってきた」キャンペーンを実施しました。Twitterなどとも連携し、じゃんけんをしたり、人々に呼びかけたりするかたちで自社の取り組みの宣伝をおこなったようです。
(株式会社ロイヤリティ マーケティングより参照)
ひとつの会場にいなくても、別の地域で同時中継されるかたちで、同じ経験ができるのは興味深いですよね。
これからそういった臨場感のある取り組みが益々増えそうですよね。
屋外広告のデメリット
良い側面を見たあとは、屋外広告を掲出することによる懸念点についてです。
デメリットとしては、場所の選定を誤ると、競合他社の広告に埋れてしまう点です。
こちらの写真をご覧ください。
ネオンサインと大きなサイズの看板が立ち並び、車と行きかう人々、、いかにも都心!
といった雰囲気がありますよね。
しかし、情報量が多く風景として広告が溶け込んでしまう可能性もあります。
そもそも人の往来も激しい地域に設置すれば、益々視認してもらうにはインパクトが必要になってくると感じます。
とはいっても、どんなにデザイン性が高く、視認してもらいやすい内容にしても、その広告を人通りの少ないエリアに設置してしまっては、集客効果が見込めないのも事実です。
それを防ぐには、制作する以前に、広告の設置場所、ニーズ、さらにはその場所の特性などを調べ、事前に把握しておく必要があります。
さらに、狙った効果や成果を出すためにもコストや費用対効果を含めて、デザインや内容を慎重に考慮する必要もあると思われます。
また、日々の生活の中で強制的に視認できる良さが相まって、内容が倫理に反していないか精査することも、非常に大事かと思います。現代はSNS時代であるため、すぐに拡散されてしまい、世の中の倫理観とデザインや内容を合わせていくことも求められていると感じます。
さらに、他の広告媒体とは異なり、屋外に設置され、不特定多数の人を対象にしていることにより、効果検証が難しいこともあげられます。インターネット広告と異なり、何人にリーチできたかという点が、はっきりした数値で把握することが出来ず、この点は未だ大きな課題となっております。
広告の空き枠の管理や入稿方法なども、媒体オーナーごとにバラバラなのが現状です。こういったルールを標準化させる必要があります。
ですが2019年に、電通とサイバー・コミュニケーションズが共同して、グーグルが提供する広告・分析プラットフォーム「Google Marketing Platform」を活用し、都内の屋外・主要駅のデジタルサイネージ合計274面において、自動的な広告売買・配信の実証実験を開始したそうです。
これによって、屋外広告においても、広告枠の購入・配信などを自動的、一元的に管理できる仕組みを実現され、広告主にとってはGoogle Marketing Platform上で、デジタル広告と屋外広告の両方の買い付けが可能となり、業務の効率化や予算の一元管理ができるようになるそうです。
(株式会社電通WEBより参照)
上記の取り組みなどにより、空き枠や出稿している広告内容などを管理しやすくなり、さらに効果検証も同時にしていけるようになれば、屋外広告がカバーできなかった点も補っていけるようになり、さらなる市場の拡大が見込めるのではと考えました。
最後に
屋外広告を掲出するうえで、今後効果の検証をしていくためにも、さらにはアナログの部分とデジタルの部分の融合をどう行っていくか、屋外広告とデジタル広告の連携強化をどう図っていくかが、今後の屋外広告の課題なのではと筆者は感じました。
屋外広告は大変インパクトのある広告であり、事前に掲出場場所やデザインを精査すれば一層の効果が見込める媒体ではあります。
しかし、その特性のために、広告効果を分析をするために、現状では検証を大々的に行う必要もあり、その後のリーチを追いにくいのが難点ではあります。それでも、人々に与える印象というのは非常に大きなものであるのは確かだと感じました。
今回、コラムを執筆する中で、エスカレーターの手すり広告は屋内にも、屋外にもされていることから、やはり広告市場の中でどの立ち位置になるのか、まだまだ見えないと感じました。
それに伴い、屋外広告を取り巻く市場の今の現状を知りたくなりました。
次回はその屋外広告の市場について分析し、さらなるエスカレーターの手すり広告への理解を深めていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
東京屋外広告美術協同組合WEB
株式会社フレッシュタウンWEB
株式会社エムズコーポレーションWEB
ミツカルWEB
株式会社電通WEB
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