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練馬区による福祉のまちづくりとエスカレーター



ゆうどうマークって実際どうなの?どんな施設に導入されてるの?

そんな皆様の声にお応えして、媒体施設や施工会社のかたなど、弊社と協働してくださっている皆さまへインタビューすることにいたしました。


初回は実際に施行した施設の担当者である練馬区福祉部管理課 課長 兼 指導検査担当課長の北沢様に、公共の福祉の観点で詳しくお伺いしました。


 


UDエスカレーター(以下、UD) まず、福祉部管理課についてお話をお伺いさせてください。


練馬区北沢様(以下、北沢さん) 福祉部管理課は区の福祉施策の総合調整を行います。個別の話ですと成年後見制度の普及啓発、民生・児童委員の窓口役、福祉のまちづくりに関すること(ユニバーサルデザインの推進)などがございます。また、災害対策として障がい者や高齢者など、避難行動要支援者の安否確認や避難支援についての体制構築も行っております。


UD そうしますと、色々な施設に直接出向いて、避難に関するアドバイスや指導を行ったりしているのでしょうか。


北沢さん 事業所と福祉施設に対しては、指導というよりも協力関係を構築する形で業務を行っております。


UD 続いてエスカレーターに関してですが、弊社の事業を採択いただいた背景として、区役所内でのエスカレーターに対する取り組みなどがございましたら教えていただきたいです。


北沢さん 練馬区は平成30年度から、東京都理学療法士協会が実施するエスカレーターマナーアップキャンペーンの支援を行っております。また、区役所にあるエスカレーターで、高齢者の駆け上がりが原因で事故が起こったということもあり、未然に防ぐための取り組みが必要なのではないかとなりました。


UD 東京都理学療法士協会のかたとの取り組みは今も行っているのでしょうか。


北沢さん 現在はコロナの関係でキャンペーン自体を中止されてはいますが、それまでは毎年度広報等で協力しております。また、今回のUDエスカレーターの取り組みを行うにあたっても東京都理学療法士協会のご協力をいただいております。


UD 実際に東京都理学療法士協会のマナーアップキャンペーンはどういうかたを対象とされた啓発活動なのでしょうか。


北沢さん マナーアップキャンペーンの対象は小学生ぐらいのお子さんとその保護者です。区立施設のエスカレーターをご活用いただきまして、実際にエスカレーターの手すりにつかまり、その際に緊急停止ボタンを作動させ、手すりをつかまることの大事さを体験していただきました。


また、駅近くの施設でキャンペーンをやられた際は、駅関係者にもご協力いただき、駅のエスカレーター近くでお子さんたちが「エスカレーターでは歩かないようにしましょう」と、声かけをしていただくなどの啓発活動にも取り組みました。


UD エスカレーターの乗り方を小学校などで学ぶような教育があるかというと別にないですからね。なんとなく利用しているかたが多いですよね。


北沢さん エスカレーターの乗りかたについて、エスカレーターにシールが貼ってありますよね。ただ、皆さん、そこを見る機会ってなかなか無いと思います。


UD そういった意味では練馬区として、エスカレーターの乗り方をしっかり区民の皆さんに理解いただきたいという認識であってますでしょうか。

 

北沢さん そうですね。



UD 今回は弊社と契約を結んでいただきました。ありがとうございます。弊社を選んでいただいた理由としては、特許を取得しているということが大きかったのでしょうか。


北沢さん そうですね。元々、エスカレーターで歩かないという取り組みは東京都理学療法士協会でやられていたのですが、練馬区では合わせて、スピード感を合わせられない高齢者のためにもそういった安全対策の特許を持っているUDエスカレーターの技術を取り入れさせていただきました。


UD ありがとうございます。導入にあたっての外的な要因や影響、弊社との取り組みを進めていく上で、何か判断材料になったことを詳しく教えていただけますか。



北沢さん そうですね。外的な要因というよりは、区として行っている取り組みに令和2年3月に策定しました「練馬区地域福祉計画」というのがございます。こちらは多様な人との相互理解の促進に関する施策についても取り組んでいるのですが、エスカレーターの乗り方でも色々なお声があります。「右側に立ち止まって乗りたい」、「右側の手すりしかつかめない」など、そういった障害のある方やお子さん連れのかたなどの声、こういったものを区民の皆さんに理解していただくことが大事だという考えで取り組んでおります。


私自身も以前はエスカレーターの乗り方を意識していたわけでないですし、分からないかたも多いと思います。そういった中で立ち止まって乗ることを強く啓発していくことは非常に重要なことだと考えております。

(練馬区地域福祉計画概要PDF:練馬区地域福祉計画(概要版.indd (city.nerima.tokyo.jp)




丸で囲んだゆうどうマークの部分を拡大すると、、

UD 今回、区役所の1階から2階へのエスカレーターに弊社のベルトデザインを貼らせていただいていますが、そこからの区民のかたの声ですとか、反響みたいなものがあれば教えていただきたいです。


北沢さん 施工後のアンケートでは「進行方向の判断が容易になった」という声や、職員からは「マークがついたことで高齢の方などがエスカレーターに乗りやすくなることを知ることができた」というような声がありました。効果は大きなものだったと思っております。


UD 以前お話を伺った際に、「区の職員がマークを貼っているからエスカレーターで立ち止まるようになった」という話が出ていましたが、実際、今もそういう話を聞きますか。


北沢さん そうですね。恥ずかしながら、私自身もそうだったかなと思います。先程も申し上げましたが、正しい乗りかたを知らず、左側は立ち止まって、右側は歩くという、周りに合わせて乗っていることが多かったです。そういうことを習慣的に続けていたので、考えを改めるきっかけになったことは間違いないと思っております。


そもそも、福祉部管理課で行っている事業がユニバーサルデザインの普及啓発なので、多様な人がいることを理解していただくことが必要な事業と考えております。エスカレーターも誰もが左側に立てるわけではないということを理解してもらうこと、高齢になったり、目が見えにくくなると、なかなかエスカレーターのスピードに合わせられない人、タイミングが合わず乗りにくい人もいらっしゃるのだということを理解してもらいたいです。


区の職員自体も普段から多様な人に接する業務ではありますが、エスカレーターの正しい乗り方について理解が足りなかったのではないかと思います。そういった面で、区の職員に対しても啓発になっていると思っております。


UD 少し質問の内容がエスカレーターとずれますが、現在福祉部管理課として考えているユニバーサルデザインの事例はどのようなものがあるのでしょうか。


北沢さん 様々なものがありますが、現在は障害のあるかたやコミュニケーションにハンディがあるかたなどの、障害者の意思疎通に関する条例の制定に向けた検討を行っております。こちらは行政だけではなく、区民や事業者の方と協働し、進めていくものです。


例えば、郵送物に音声コードをつけることで、視覚障害のあるかたはもちろんなのですが、日本語がわからないかたにも、テキスト化した内容を翻訳ソフトを使い理解できるようになるなど、そういった取り組みを練馬区は進めていくことを検討しております。あまり広くは知られておりませんが、識字障害のある方も音声コードを活用することによって、聞くことで理解できるようになります。


UD 誰に対しても行政サービスの情報を等しく提供する必要がある中で、ハードルにならないような施策も「ユニバーサルデザイン」という定義に入るということなのでしょうか。


北沢さん そうですね。例えば、練馬区報はカタログポケットを導入し、多言語に対応をしています。

(参照:カタログポケット https://www.catapoke.com/)


UD 福祉部管理課の業務として、今後のプロジェクトや施策に関しての情報がありましたら教えていただきたいです。


北沢さん 条例に関しましては、区からの郵送物と判別できるよう、音声コードを封筒につけることを進めていく予定です。それだけでも視覚障害のあるかたは他の郵送物と混同しないで済むようになると思っております。加工代もかかりますが、令和4年度実施に向けて準備を進めております。


また、最初に災害対策の話をしましたが、避難行動要支援者に対して、個別避難計画を作成するということです。避難行動要支援者は区内に約3万人おり、災害時には安全に避難できる体制を作る必要があります。これは行政だけでは解決できる問題ではないので、区民や事業所の協力を得て進めていっております。


UD 最後にいわゆる弊社の取り組みに対する純粋な評価をお伺いしても宜しいでしょうか。また、ユニバーサルデザイン(ゆうどうマーク)の普及に対する期待あるいは要望などがございましたら、お聞きしたいです。


北沢さん バリアフリーを考えるきっかけづくりとして重要なのではと思っております。エスカレーターで立ち止まることの大切さや、エスカレーターのスピードに合わせて乗りにくい人がいることを知るきっかけとして広がっていけば良いのではないかと思っております。


 

終わりに

練馬区全体で、真剣に福祉と向き合っていることがお伺いできました。


弊社としても、生の声を聞くというのは貴重な機会でございますので、

今後もゆうどうマークを導入された会社や施行会社の皆さんなどとの対談を、こちらのコラムに投稿してまいります。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。






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